優しくないっ、優しさを感じない!
『…なんだ、なんか本当に体調悪そうだな。てっきりズル休みかなんかだと思ったのに』
「…とか言ってさ、本当にそう思ってたら電話なんてしてこないでしょ?心配してくれたクセに」
『あ、バレた?…って、出だしが大丈夫か?じゃバレバレだったか』
『失敗したなー』なんて、ケラケラと電話の向こうで笑うコースケ。その彼のいつもの感じに、あたしはすごく懐かしいような、そして温かな気持ちになった。そうだ、これだと、あたしの求めてたやつはこれなんだと思った。
大好きなコースケとのやり取り。いつも通りのバカだけど温かくて心地良い、そんなコースケの雰囲気があたしは嬉しかった。いつもと変わらないそれがすごく安心した。いつも通り、それがどれだけ尊いものなのかを知った今だからこそ、それはあたしの心を優しく温めてくれた。
…すると、聞こえてきていたコースケの笑い声がやんだ。どうやらひとしきり笑い終えたらしい。
『まっ、でもさ。電話すんのもアレかなと本当は思ったんだよ。体調悪いって聞いてたし、寝てたらアレだし。俺にだって常識はあるからな』
「うん…でもかけてくれて嬉しかったよ、ありがとう」
『いやいや、まぁ結果的に良かったならどういたしましてだな。つーか昨日から変だったって聞いたからさ、それでついっていうのもあんだよなー』
「……え?」