優しくないっ、優しさを感じない!
なんでこんなにも簡単に想いを変えられる事が出来たのか。コースケを応援したいと思えるようになったのか。
改めて思うとそれはきっと、コースケがあたしには出来なかった、思いもしなかった答えを見せてくれたからだと思った。大きな想いを抱えながらもだからこそ相手の事を想う、そんな姿を見せてくれたから、だからあたしは振り切る事が、思い直す事が出来たんだと思う。
それだけコースケの言葉はコースケの想いに溢れていた。あたしにも切ないくらいに伝わってきた。それを抱きつつ相手の幸せを願うコースケの姿勢は…同じ想いを抱いてる人間としてそれはすごく、すごく大きな道標になった。
そして…そんなあなたが好きだから、だからあなたの想いの理解者として傍に居たい。あなたの想いを支えていきたい。あたしが抱いたその想いがきっと…あたしがあなたを、応援するという事。応援したいって、きっとそういう事なんだと思う。
『ありがとう』とあたしに告げるコースケの言葉を最後に、あたし達は通話を終えた。
後悔は無かった。むしろコースケの背中を押せた自分が誇らしかった。
…でも。
「…なんでだろう。涙が出る…」
次々と溢れ出すそれに呼吸も荒くなって、あたしは通話の切れたそれを握り締めながら泣いた。逆らう事無く、全てを出し切るまであたしは泣き続けた。
…きっとこれは、新たな一歩のために必要な涙だと思ったから。