優しくないっ、優しさを感じない!
「……」
あたしはそっとベッドを出ると、掛けておいた制服のポケットに手を入れて中を探った。
「…あった」
それは、一枚の紙。いらないなら捨てろと言われたそれは、やっぱり捨てる事なくとってあった。でもきっとかける事なんて無いなんて意地を張って、あえて登録はしないままにしていた。それがあたしのちょっとした決意でもあった。
…それなのに、こんなに早くこの時が来るなんて。
昨日の今日である事が少し気まずい。でも…あたしにはやっぱり、これしかない。
メモを見ながらあたしは、手元の画面に映し出される番号をタップする。そして最後に発信マークへと指を伸ばした。
今日あたしは、一人でなんとか出来た。だから自分で受け止めてコースケの背中を押す事が出来た。レナちゃんとの向き合い方だって結局あたしは知っていた事にだって気がついた。だからもう大丈夫だと思った、思えた。でも…
「…一人じゃ、何も分かんない」
だってあたしは自分の事が分からない。信用が出来ない。
困ってる時、悩んでる時、辛い時。そんな時結局あたしは思い出す。
進藤をーー思い出す。
あたしは…画面を、タップした。