優しくないっ、優しさを感じない!
その後、耳元でコール音が鳴り始める。その音にあたしの心臓はバクバクと大きく反応していた。緊張する。コール音がやたらと大きく、長く感じる。
ーーそして、
『……はい』
「!」
止まったコール音の後、聞こえてきた声。その声に思わず息を飲む。
『……もしかして、神崎?』
「……」
その声に、訝しげな雰囲気は無かった。素直に驚いている、そんな声色にあたしは掛けてきたのがあたしだと確信しているのだと分かった。
だから口を開く。言葉を発するために。
「…なんで、分かったの?」
……なんでだろう。
さっきは平気だったのに、コースケの時はちゃんと隠せたのに。
『…そんな気がしたから。…大丈夫か?』
「……」
『声が震えてる』
「……」