優しくないっ、優しさを感じない!
「そうだったんだ。全部が混ざった先に居たのが今のあたしだったんだ。見つけたのは今のあたし。気づいたら生まれてた3つ目のあたし。どっちかを隠したり見ないフリしたんじゃなくて、全部まとめて出来た自分。だから…もう一つのあたしも今、ここに居る。そのあたしも納得したからこのあたしが在る」
驚いた。いつの間にかいなくなったもう一つの自分の感情、真っ黒なあたし。消えたのか、それともまだあたしの中に欠片として残ってるのか。行方が分からなかったからこそそれがまた出てきたらと不安に思ってたけど…それはどこでもなく、ここに在った。あたしと同じく形を変えて、あたしとしてあたしになった。
「そっか。全部あたし、そう思ってたのはあたしなのに…なんで分からなかったんだろう。あたしはずっとあたし。形を変えて、ずっとここに在るんだ。だから…」
だからきっと、もうあんなあたしは出てこない。お互い納得して受け入れて、そんな今がこのあたし。だからもうきっとそれは大丈夫、いや絶対大丈夫。
それが確信に変わった瞬間、あたしの中がさぁっと晴れ渡った。暗くなっていた部分がどんどんと減っていき、明るくなっていくあたしの心。それは先まで見渡せるようになっていく、霧が晴れていく感覚に似ていると思った。
…すると、もう一つ。晴れ渡る中にあたしはもう一つだけ暗く残る部分、不安要素がある事が見つかった。
「…でも、もしさ。もしまた違うあたしが現れたらどうしよう。また今回とは違うあたしが生まれちゃったら…それがさ、別の時なら良いよ。でもまたレナちゃんと話してて、その時生まれたらきっとあたし、すぐ口に出しちゃって…」