優しくないっ、優しさを感じない!
そう。あたしはきっと、生まれてしまったそれを口に出さずにはいられないだろう。後になって受け入れられてももう遅い、口に出してしまって、レナちゃんを傷つけてしまった後だったらそれは…何の意味も持たない。
「それでまたレナちゃんに酷い事しちゃうなんて、そんなのあたし…」
『おまえはさ、今回自分が見つかった時、どんな状況で見つかった?』
「え?…えっと…」
どんな状況で見つかった?
今回、あたしが見つけられたその瞬間は、その方法は、その理由は…
「…コースケの想いを知った時。あたしがあたしの中でそれに納得した時。本人から聞いて向き合う事になって、それで…新しいあたしが見つかった」
『うん、そうやってちゃんと分かってるだろ?だったら次もし生まれた時は、また同じようにすれば良いだけだよ。本人に聞いて向き合って納得して、吐き出した想いを受け止めた時きっとまた新しい自分になってるはず。おまえはその方法をちゃんと知ってる、だからこうなれたんだ。おまえだから、こうなれたんだ』
「…あたし、だから…」
『そう。それがおまえだろ。真っ直ぐにぶつかって突き進む、それが…俺の知ってる、神崎だよ』
『だから大丈夫、神崎なら何も心配する事なんてない』そう断言してあたしに勇気をくれたのは、電話の向こうの彼だった。それは紛れもなくいつもあたしの事バカにして冷たく接する、そんな嫌な奴…だったはずの、進藤 タケル。