優しくないっ、優しさを感じない!


それはなんだか聞き覚えのあるフレーズだった。それがところどころにあるあたしの記憶の糸に引っかかって、それを辿ってみたその先には…


「…進藤は、あたしの事本当に心配してくれたの?」


昨日の進藤の言葉、約束、それを事実へと結びつける答えが眠っていた。

進藤の言ってた意味がようやく理解出来た気がする。


「進藤は、あたしの事嫌いじゃなかったって事だよね?」

『……』


すると進藤は、電話の向こうで大きな溜息をついた。 いつも通りの大きな溜息。呆れてるようなそれはつまり、進藤からして思っていたものと違ったと、そういう事なんだろうとあたしは感じとる。


「え、何?違うの?違うって事?それじゃあ昨日の話って…」

『違くないよ。違くはないけど…やっとそこかと思って。なんか、先は遠いなと思ってさ』

「へ…?」


何の話だろうと、あたしは首を傾げたけど、そんなあたしの仕草は向こうの奴には届かない。それと同じように今奴がどんな顔をしてどんな態度であたしにそんな事を言ってるのかも、あたしには伝わらない。だから、分からない。


「…え、あたし、まだまだ先があるの?」

『…まぁ、おまえにっていうか、お互いにっていうか』

「はぁ…?」

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