優しくないっ、優しさを感じない!


『…仕方ないか、おまえ相手だもんな。思ったより早く掛かってきたと思ったら、思ってたのと全然違う展開だったし』

「展開?」

『おまえの行動も思考も分かりやすいと思ってたけど、なんか結局いつも斜め上を行かれるんだよね。今回は落ち込んで電話してくるとばっかり思ってたのに』

「え?」

『もし電話が来るとしたら中村の気持ち聞いて落ち込んでかけてくるんだと思ってたんだよ。絶対そうなると思ってたんだけどなぁ』

「えぇ⁈ 」


さらっとなんだか、今進藤がすごい事を言ってのけた気がする。てゆーかそうだよね?今すごい事言ったよね⁈ だってそれってさ、


「進藤、昨日の時点で…てゆーかやっぱり前から知ってたんだコースケの気持ち!」


そうだよ、そういえばあたしがこんな事を思い始めたのってさ、夏休みの終わりに進藤に会った時からじゃない?あの時進藤にあんな風に言われて、だからあたしはもしかしてって思い始めて、それで結局こんな事に…!


「なんでもっとちゃんと教えてくれなかった…いや、むしろなんでそんな事教えたの!知ってたなら言わないでくれてもいいじゃん!そしたら今頃あたしバカだからまだ気づかないで、それできっと何も変わらない学校生活を迎えられてて…」

『いや、それじゃ良くないから教えたんだろ』

「良くなくないって!そしたらもしかしたら、それこそ違った展開になってたかもしれないじゃん!」

『違った展開って?どんな?』

「え?えっと、それは…」


…違った展開。つまりあたしが気持ちに気付いてなくて、レナちゃんともこんな事になってなくて、いつも通りに今まで通りに毎日が過ぎてって、それで…


『…変わらないだろ?』

「……」

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