優しくないっ、優しさを感じない!


結局、コースケがレナちゃんの事を好きだっていう事実が変わらない限り…結果も変わらない事に、気がついた。知ってしまったパターンだときっと今回と全く同じだし、知らないままいつか告白したとしても振られてその時コースケの気持ち知ってまた今回と同じ。もしコースケとレナちゃんが知らないうちに付き合う事になったとしても…うん、言わなくてももう分かる。

むしろ考えてみればみるほど辛い。きっともっと仲良くなってその時そんな事になったら…なんて、今回の事を思うと怖くて想像もしたくない。次のあたしはもしかしたら、あの時二人を知り合わせなきゃなんて、勝手にそんな事まで思うようになってたかもしれないとまで想像ついたあたしが怖い。


…つまりは、そこまで進藤は予想していたと、そういう事なのだろうか。


「進藤は…あたしの事を思って、言ってくれたの?」


躊躇いながらも、生まれた答えを口にしてみた。きっと前の進藤だったら何の勘違い?的な言葉でも返してきたと思う。でもきっと今の進藤は違うだろうから、だから少し、思い切ってみたところもある。


『うーん…まぁそう受け取ってもらえても嬉しいけど…』


でも進藤は、それを肯定するでもなければしないでもないような曖昧な答えを返す。そして、


『でも時間が惜しかったってところもあるから、なんとも言えないかな』


…なんていつものごとく、あたしには分からない部分を持ってきて、分かりそうになってきた所を謎で濁してくる。

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