優しくないっ、優しさを感じない!
怖いのは、みんな一緒
よし。言うぞ…やるぞ!
教室についたあたしはピンと背筋を伸ばして、迷う事なく席へと向かった。そこにはもちろん、いつも早く来ているレナちゃんの姿がある。
あたしは、生まれた緊張感を宥めようと、歩きながらそっと深呼吸をした。
「レナちゃん、おはよう!」
「!」
あたしの声かけに、レナちゃんは驚いた様子であたしの方を見る。そしてもともと大きな瞳を更に大きく見開いて、
「ひ、ヒロちゃん…」
と、その小さな口から弱々しくか細い声をこぼした。あたしと合わさった視線の先で、レナちゃんの瞳がゆらゆらと揺れ始める。
「…そ、その…えっと…た、体調は…」
「うん、大丈夫。心配してくれてありがとう」
「あ…う、ううん…」
「あのさ、それで…実は今日、レナちゃんと話したい事があるんだ」
「!、わ、私と…?」
あたしの言葉にビクッと身体を震わせたレナちゃん。すると視線がすっと横にズレていき…そこであたしはようやく、あれ?と違和感を抱いた。