優しくないっ、優しさを感じない!
きっとレナちゃんも今は一人になりたいって思ってるはず。考えたいかもしれないし、それにあたしの顔なんて見たくないかもしれない。そう思ったあたしは戻る事に決めて、告げる言葉と共に微笑んで見せた。
隣に立つレナちゃんは俯いていてあたしの表情なんて分からなかったと思うけど、それでもあたしはあたしの気持ちが伝わるように、そう思いながらレナちゃんに微笑んだんだ。だってもうレナちゃんに酷い態度なんてとりたくない。
レナちゃんには元気になって欲しい、あたしはレナちゃんの事が大好きだから。嫉妬してしまったくらいに、だけど応援したいと思えるくらいに、レナちゃんはあたしにとっての理想の女の子だ。レナちゃんはとっても素敵で尊敬する自慢の友達なんだ。だからこれからもずっと仲良くいたい。だからーー
「…ごめんね、ごめんなさい」
結局、あたしが言える事は今、それが一番の事だと思った。それしか今のあたしには無いって、だからあたしはそのまま向きを変えて、帰るためにドアへと向かおうとした…その時だった。
「違うの。…違うんだよ」
「…え?」
「ヒロちゃんは何も悪くない。悪いのは全部私…私なの」
それは多少かすれながらも、力強く決意を感じさせる呟き。
あたしは思わず足を止めて振り返った。