優しくないっ、優しさを感じない!
「レナちゃん…?」
一体何を言ってるんだと思ったあたしは、レナちゃんの表情を窺ってみる事にした。…けれど、まだ俯いている彼女の表情は残念ながら読み取れない。
でも俯いて佇むレナちゃんは、少しだけ震えている様に見えた。まるで何かに怯えているかの様に。
「…私……私、気づいたの。ヒロちゃんが怒っちゃったんだって」
「……」
あたしが…怒ってる?
「そ、そんな事、」
「だって私、ヒロちゃんにずっと黙ってたから。だからヒロちゃんはそれを知って、でも私ヒロちゃんに嫌われたくなくて」
「……」
「私ね…ヒロちゃんの事大好きなの。ヒロちゃんの事が一番大事なの。だからこんな事、怖くて言えなくて…でもそしたらね、嫌われちゃって、それですごく後悔したの。なんでヒロちゃんにちゃんと話せなかったんだろうって、もうきっと戻れないんだって…」
「……」
「でもそしたら…ヒロちゃんは、話そうって言ってくれた。こんな私なのに向き合いたいって…だから私、すごく、すごく嬉しくって…!ひ、ヒロちゃんっ、私ね、私もね、ヒロちゃんに話したい事があるんだ…ダメな私だけど、こんな私のつまんない話だけど、よかったら聞いてくれる…かな…?」
そう言いながら顔を上げたレナちゃんは、落ち着いていた涙を再度ボロボロと零しながらも、その瞳で真っ直ぐに見てくれた。
あたしの事を、しっかりと見つめてくれた。