優しくないっ、優しさを感じない!
***
耳元で鳴り響くのはコール音。それが途切れた時、聞こえてきた奴の声に、
「あ、進藤?あたし!神崎 ヒロ!」
『…知ってる』
…と、とにかく勢いよく食いついたあたしに、進藤は呆れたように答えると溜息をついた。いやぁ、電話でもちゃんと溜息って分かるもんなんだなぁ…なんて、そんな事は置いといて、だ。
「ねぇ、話したよ!今日話した!」
『…らしいね、レナからも聞いた』
「そっか!でね、仲直り出来たんだ!てゆーかむしろ前より仲良くなった感じ!」
『そう』
「もうなんか…ほんっとありがたくって!今全てがありがたい!レナちゃんに会えてよかった!仲良くなれてよかった!そんな気持ちがもう溢れて仕方ない!」
『…で、寝るに寝れなくてかけてきたと』
「!、そ、そうだけど…なんで分かったの?」
『なんでっておまえ、今何時だと思ってんの?』
そう尋ねられて自然と、あたしの視線は部屋にある壁掛け時計の方へと移る。
「…もう11時過ぎてるね」
『正確に言うと45分な』
「……ま、いいじゃんいいじゃん、ほんの少しだけだし、」
『俺はおまえの便利屋か』