優しくないっ、優しさを感じない!
そして、再度聞こえてきたいつもの溜息。流石にアポなしでこの時間はマズかったか…と、改めて時間を意識すると、今になってようやく反省する気持ちがあたしにも芽生え始める。
「…そうだよね…いくらなんでも遅すぎたよね…ごめん…」
『……』
「まぁでも、せっかく繋がったわけだしさ、ここはもうあたしと進藤の仲という事で…、」
『遠慮してると見せかけといてのこの図々しさ。なんか身に覚えがあるんだけど』
「?、身に覚え?」
はて、と首をかしげるあたしの言葉に、すかさずツッコんだ進藤はその後、少し考えているような間をあけて…『あぁ、そうだ』と、なにか思い出したような声をあげる。
『中村の伝言で駅で会った時、あの時だ』
「…?そうだっけ?そんな事…」
『電車に乗ろうとしたのにおまえに阻止されたんだよ』
「…ん…?」
『で、乗れなかったことだしここは自分の話を聞けってさ。正に横暴だよね』
「……」
……思い出した。
それはコースケが来れなくなって落ち込んでた時。このまま帰りたくなかったあたしは確かに、確かに話を聞いて貰おうと進藤の帰宅を阻止したんだった。
あの時はもうなんか思わずっていうか、優しそうな人だしここは…ってな感じで引き止めてしまった訳だけど、でもなんか、時間を置いて改めて進藤本人の口から本人視点で話されると…
「…いや本当に、本当に申し訳ない」
『やっと分かったか』