優しくないっ、優しさを感じない!
もう完全信用しちゃってたよ、進藤があたしの事今までと違ってフツーに見てくれるようになったんだとばっかり、そうだとばっかり!だってさ、進藤も言ってたじゃん、意地張んのやめたって。それって仕方ないから優しくしてやるかってなったって事だよね?歩み寄ったって事だよね?だからかけてきた時は相談乗ってあげるよみたいな。俺にかけてこいみたいな。でも無駄にかけてきたら怒る、みたいな…
「……」
…そもそも、元からあたしの話聞こうって意思があったって言ってたじゃんよ。自分の意思がなきゃいくらレナちゃんの頼みと言えど行かない、みたいな。そんな風に言ってたじゃん。心配してくれてるんだってさ。それなのに優しくするつもりはないって言ってて、それはあたしに優しくしても意味が無いからって、だってあたしは自分の事好きじゃないからって…あたしの想いじゃ足りないからって…
……あれ?
…なんだろう。
「…なんか、気付いちゃった…気がする」
それって、あたしが進藤を好きじゃないから、だから優しくしたくない。あたしの想いが足りないから、自分の想いと釣り合わないから、だから優しくする訳にはいかない。だって、進藤の想いの分が、あたしから返ってこないから…って、事に、なる?
「…それってさ、なんか、優しくしようにも出来ない…みたいな、そんな風に…思えなくも…ない…ような…」
「ヒロちゃん、ただいま」
「それに意地張んのやめたって、妥協したって…でもこのままズルズルいくつもりは無いって…それってさ、それってつまり…もしかして…」
「ヒロちゃん?どうかした?…ヒロちゃん?」
「!、あぁ、レナちゃん」