優しくないっ、優しさを感じない!
ハッと我に返ったあたしの前には、不思議そうに首を傾げるレナちゃんの姿があった。…あれ?一緒にお昼ご飯を食べた後、昼休みは委員会の用があるんだってさっき教室を出ていったはず。それなのにこんなに早く戻ってくるなんて…ん?
「…あれ?もしかして…昼休み終わり?」
「うん。もう終わりだけど…気づかなかったの?」
慌てて目をやる黒板の上の時計は確かに、確かに終わりの時間を指している。…わあ。考え事に夢中で気づかなかった。
「なんか、損した気分…」
「…うん。それよりヒロちゃん、そんなに何に悩んでたの?」
「…え?」
「何か悩み事?私聞くよ。もしよかったら話してみて」
そう言って、ニッコリ微笑んでくれるレナちゃんには、もうあたしの状況はお見通しらしい。レナちゃんが凄いのか、それともあたしが分かり易すぎるのか…
「…うん。ありがとう、ありがとうレナちゃん」
…きっと両方だろうな。きっとレナちゃんも凄いしあたしもそうゆー意味では凄いんだろう、自覚がある。…でも、
「なんかまだよく分かんなくてさ。悩んでるってゆーか、気になるってゆーか、でもほっといてもいいような気もするってゆーか…だから大丈夫」
なんか、相談するとしても何をどう…というか、悩みってほどのものでも無いし、今すぐ答えが必要なものでもない気がする。…というか、なんかもうこれ以上考えると変な方向にいきそうでちょっと怖い。そんな話を人にするのはもっと怖い。