優しくないっ、優しさを感じない!


…てことで今日は朝、昇降口で少し早めに来て待ち伏せてる。

いいぞ来いよと、心の中で煽ってみる。あたしはやれる。とりあえず先ずは挨拶をして、そしたらきっと同じように返してくるから、そしたらえっと…そしたら次は…


……思いつかない。


あれ?普段進藤となんて会話してたっけ?相談ばっかりだったけど、それでも一応話くらいはした事があるはず……そういえば前に進藤、もう自分の事用済みでしょって言ってたな…用済みだなんて思わないけど、進藤もあたしとの事、こんな風に思ってたのかな…何話してたっけって、思ったのかな…


「…まぁいいでしょう!会話なんて流れだし!」


そしてなんとかなるなる!と、無理矢理前向きな気持ちにさせた、その時だった。


「!」


目標人物発見!


先の方から進藤が歩いてくる。こっちに来る!

ここは偶然を装って下駄箱の陰から出る。あ、おはよ〜なんて言って、そっからは流れをだね、読んでみて…


「ん?ヒロ?」

「おっ、おはよう!今日はとってもいい天気だね!」

「え、何?どうした?また熱でもあるのか?」


そしてあたしのおでこに温かい手のひらの感触。

…その瞬間、あたしは自分の身に何が起こってるのか、ハッキリバッチリ理解した。

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