優しくないっ、優しさを感じない!


「えっ⁈ こ、こここ、コースケ⁈ 」


なんでコースケが⁈ てか進藤は…というより今おでこ!おでこ‼︎


「おう」なんて何事も無いように返事をするコースケからあたしは慌てて身を引いた。お、おでこ触った…!と、反射的に感覚の残るそこに両手を添えると、自分の頭が熱くなってるのが分かる…というか、頭じゃない。顔だ。顔が熱い!


「ね、熱なんて無いよ!ビックリするじゃん!」

「いやぁ、急にとってもいい天気だねなんて言いだすから」

「それの何が悪い!フツーじゃん!フツーの会話じゃん!」

「お、おう…そうだな。そうかもしれないな」


あたしの勢いに押されたコースケが、思わずそれを受け入れる、なんていう面白ハプニングが起こってしまった訳だけど、それでもあたしは忘れてはいなかった。ちゃんとハッと気づく事が出来た、自分の隣を通り過ぎようとする進藤の事を。


だから慌てて声をかけようと進藤の方に振り返ろうとして、その間に一瞬合った、奴との視線。


「あ、タケル君おはよ〜」

「あぁ、おはよう」


…本当に、それは僅かな間の出来事だった。他のクラスメイトだかに声をかけられた進藤は、すぐにそっちの方へと向かってしまい、その表情はそこから消えた。

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