優しくないっ、優しさを感じない!


「だってあいつ、今まですごかったんだよ?もうなんかよくあいつの事嫌いにならなかったなって思うくらい。それくらいあたしにはなんか酷くてさ…」

「酷いって?どんな感じ?」

「え、どんな?どんなってそりゃあ、完全に冷たい受け答えってゆーか、もう全然優しくないってゆーか…そうだ、優しくない。それだ。あたしには優しくしないって、これは親切だみたいな話から始まった気がする。確か前にレナちゃんにも言ったよね?」

「うん。覚えてるよ」

「結局なんか違いとかよく分かんなかったし、でもそのうち気持ちが釣り合わないとかどうとか、だからあたしには優しくしないって言われて、それで…」

「でもそれはヒロちゃんの想いが足りないって話だったんだよね?」

「うっ…そ、そうだけど」

「それでその時タケル君がヒロちゃんの事好きなんじゃないかって思ったんだよね?」

「…でもその時はだよ?その時そう思ったけど、でも結局嫌われてる感じになって、なんかあたしは他の子と一緒みたいな…」

「…うん。全部タケル君が悪いよね」

「!、そ、そうだよね!なのにそんな事急に言われたってさ、」

「同情の余地無しだよね本当。自分が蒔いた種だよね、今更遅いよって感じだよね」

「う…うん、そ、そうなんだけどさ…」


微笑んだまま言ってるはずのレナちゃんのそのセリフ。そこに棘を感じるのはきっと気のせいでは無いんだと思う。

レナちゃんは進藤に対して時々ヤケに厳しい。あんなに優しい天使なレナちゃんは但し進藤以外に限る、という注意書きが必要らしいと最近知った。というかそれは、あの保健室での一件以来レナちゃんが心を開いてくれた、そういう事なのかもしれないと思ってる。

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