優しくないっ、優しさを感じない!
あたしがそのフレーズを繰り返すと、レナちゃんは頷いた。いつもの微笑みを浮かべながら。
「タケル君は意味を気にするんだ。釣り合いがとかなんとか言ってるのはそのせいなんだけど、だから優しくする事もね、そのための意味を自分で作ってるみたいなの」
「…?、そのための意味を作ってるって、どういう事?」
「ね。意味分かんないよね。でもタケル君にとっては大事な事なんだ」
そう言ったレナちゃんはどこか気まずそうな顔をして、「タケル君は自分の行動で周りがどうなるか、知ってるから」そうポツリと呟いた。
するとその表情と呟きは…あたしの頭の中にある、一つの事実と結びつく。
レナちゃんは進藤と幼馴染みだって事で随分苦労したって、前に言ってた。だからそれはつまり、進藤の行動でレナちゃんが苦しむ事になったと進藤は思ってて、だからレナちゃんはそんな進藤の気持ちが分かってるから進藤の考え方に対して罪悪感を抱いてる、そういう事を今言ってるんじゃないかって。
だから今…それが、今の言葉に対する表情に表れてるんだと思う。きっと間違い無いと思う。
「自分の行動が正しいか確認するために理由に拘るんだ。それがタケル君の言う、意味っていう事」
「…じゃあさ、進藤が言う優しさと親切の違いって?」
「…優しくしたいと思っての行動か、しなければならないと思ってする行動か」
「……」
「それがタケル君にとっての優しさと親切。でも…そんなの、自分にそうやって言い訳してるだけ。言い訳するのに使ってるだけ」
「…言い訳するのに…」