優しくないっ、優しさを感じない!
その持論ってどうなんだろうと思う
その後、どうやらあたしより遠くから通ってるらしい進藤よりも先に最寄り駅に着いたあたしは、電車を降りてそのまま真っ直ぐに帰宅した。
電車の中では会話という会話は無かった。あたしも向こうも黙ってつり革に掴まって、黙って駅まで揺られていて、降りる時に軽く挨拶をした程度だった。
…愛想が無い。アイツには愛想が無い。というか、アイツはすっかりあたしに愛想の欠片も見せなくなったらしい。
なんなんだまったく…こんな奴は初めてだ。
どうしてもなーんかムカつく、なんて思いながら、制服のままベッドの上にどかっと寝転んだ。あ、お母さんに皺になるって怒られる、なんて一瞬よぎったけど、なんだか今はそれどころじゃ無い気持ち。
「…アイツが乗せてくれなかったらまだあたし、今も駅に居たのかな」
それは乗る寸前。躊躇したあたしの手を引いて、無理矢理電車へと引き入れたのはアイツだった。
「でもあたしに勝手に引き止めておいてみたいな事言ってたけどさ、無理矢理乗せるのはどーなんだよって話じゃない?絶対可笑しい」
…でも、結果としては良かったのかもしれない。もう行けなくなったって言われてた訳だし、向こうは帰ってると思ってるって言ってたし、待ってたってきっとまだまだ来なかっただろうし…てか、なんであたしそれが分かってんのに待とうと思ったんだろう。