優しくないっ、優しさを感じない!


そしてあたしは、昨日までのいきさつをレナちゃんに説明した。ボタンを拾ってくれて、そしたら充電が切れたコースケの伝言をしてくれたのがアイツで、その時アイツにーー


「もうすっっごいバカにされてさぁ!」

「…うん」

「でもほら、噂になってるじゃん?なんかすごい優しいイケメンが居る的なさ、あ、それこの人か!ってやっと気づいて…レナちゃん知ってた?」

「あ…うん。一応」

「そっか、でも騙されちゃダメだよ!それなのにそんな所ね、これっぽっちも無いの!バカだバカだ言うし、なんか親切がどうとか意味分かんない事言うし、全然優しくなかったんだから!」

「…え?」

「なんかね、雰囲気穏やかというか、雰囲気優しいみたいな。でも見かけに騙されちゃいけない…って、もううっかり騙されたあたしが言うのもなんだけど!でも本当ね、愛想の欠片も無いんだから!」

「…そ、そうなんだ…」


そこまで言うとあたしはえへん!と、胸を張って見せたりする。


「だからね、レナちゃん。もしアイツに何かされたらあたしに言ってね!ガツンと言ってやるから!酷いこと言われたらあたしに言うんだよ!」

「あ…うん、分かった。そうするね」

「そう、絶対ね!…まぁ、でも最終的には良かったのかな、みたいにはなったんだけどさ」

「うん?」

「あ、いや、なんでもないの。どーせアイツはそこまで考えてやった事じゃないだろうし。そうだ、あの時も結局バカだって言われたし」

「……」

「あー、やっぱお礼言おうと思ったけどやめやめ!何か腹立ってきた!なんでみんな気づかないんだろう、アイツがあんな奴だって事!」


< 40 / 310 >

この作品をシェア

pagetop