優しくないっ、優しさを感じない!
そして、「やっぱり結局ムカつくー!」なんて吠えるあたしに、レナちゃんは「なんかごめん…」と、ポツリと呟いた。…多分、聞き間違えじゃない。
「え?なんでレナちゃんが謝んの?」
「…なんか…そんな気分になって…」
そして気まずげに苦笑いを浮かべるレナちゃんに、あたしは彼女の心境がよく分かんなかったけど…でも、そんなつい謝っちゃうような気分にさせちゃったならあたしも悪かったなぁと思う。
「いや、いやいやいや、なんかごめんねレナちゃん」
それから二人で謝り合戦になってしまった訳だけれど、授業が始まる事でそれは終わりを迎える事が出来た。うん、良かった良かった。
***
「今日も塾?」
「そう。でも明日は無いんだ」
「そっか!じゃあ明日は一緒に帰ろうね」
放課後。教室を出たあたし達は昇降口で靴を履き替えていた。
このまま校門までレナちゃんと一緒に行って…きっとのあたしの事だ。別れた後はまた例のごとく教室に引き返すんだろう。やばい、もう完全にコースケ覗きがクセになっている。
そして靴を履いたレナちゃんに続いて昇降口を出ようとした、その時だった。
「ちょ…っ、ヒロ!待って!」