優しくないっ、優しさを感じない!


「だったらしまってさっさと帰れば良かっただろ」

「…いやぁ、何かこっちに来るみたいだったから、とっさに…」

「俺らがこっち来る時にはもう話は終わってたよ。つまり、話をずっと聞いててこっちに来そうになったからこの中に逃げ込んだんだと」

「!、いや、違…、」

「つーかまず、こんな時間まで掃除してる奴なんて居ないから。もうフツーの奴はとっくに帰ってる時間なはずなんだけど」

「 ‼︎ 、そ、そうだったー…っ!」


今日はテンション上がってた事もあっていつも以上遅くまで残っていたんだと、そこでようやくあたしは思い出した。そんなあたしにはもう…逃げ場は無い。観念、するしかない。


「…ごめん、ほんとはそうゆーつもりじゃなくて…泣いてる子を見かけたから、つい…」

「……」

「そしたら誰かと話してるみたいだったからケンカしてんのかと思って、止めに入らなきゃと思ったらケンカじゃなくて…。でもね、相手が進藤だって分かったら、もしかしたらあたしみたいに酷い事されちゃうかもと思って、だから様子みてたら…こんな事に」


そして、こうなったらもう全面的にあたしが悪いと、心からもう一度「ごめん」と反省の意を示すと、そんなあたしに進藤は「はぁ…」と、呆れたような溜息をついた。

それに思わず昨日も確か何度かつかれてるな…なんて思って、反省中に関係ない事を思い浮かべる自分に再度あたしは反省する…なんていうとにかく反省が反省を呼び反省中のあたしは、その時の進藤の様子なんてまったく視界にとらえてもいなかった。


「…今の話聞いて思う事は色々あるけど…」


そう口を開いた進藤は、ようやく意識を戻したあたしにやれやれといった様子で目を向ける。そして、告げる。


「俺は酷い事なんてしないし、おまえにもした覚えはない」

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