優しくないっ、優しさを感じない!


「……は?」


思わず声が出たものの、一度黙って何を言われたのか再確認してみることにした。…けれど、


「……はぁぁっ⁈ 」


結局のところ、結果は同じだった。

やっぱりあたしには理解し難い言葉だった。


「何だと!つい昨日だよ昨日!」

「昨日?」

「あんたがあたしに酷い事したのがだよ!まさかもう忘れたと⁈ 」

「いや、忘れたも何もその覚えがない」

「お、覚えがないぃ⁈ 」


しれっとした顔で、何の思考をする素振りも見せずに奴は言った。それは心当たりがまるでないといった表情だ。


…なんだと?昨日起きたアレやソレ。あたしの事あれだけバカだバカだと見下しておいて、あれは酷い事ではなかったと?だったら一体何がそれになるっていうんだ!あれだけ分かりやすく人を傷つけといて、それなのにそれが分かんないなんて…っ、


「あんたの脳みそはあたし以下かっ‼︎ 」

「……」

「……」

「……それは傷つくな」

「…………あたしも」


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