優しくないっ、優しさを感じない!


つまりそれって、優しくするのは意味があるからって、事?意味があるから優しくする?その分の見返りが、ある?


「……それって結局、優しさじゃない気がする」


…気づくとあたしは、あたしの中に生まれた気持ちを言葉にしていた。


「意味を求めてするものじゃない。見返りを求めるものじゃないよ、優しくするっていうのは」


それは、特に何かを考え抜いて発したとかそういう発言ではなかったし、もともと自然にあった意見を述べた…あたしにとって、ただそれだけだった。

でもそれに、進藤は食いついた。進藤はあたしの言葉に首を傾げて尋ねてきたのだ。


「だったら、優しさって何?」

「…え?」

「おまえはなんで優しくするの?」

「えっ…そりゃあ、優しくするべきというか、優しくしたいって思うし…」

「どんな奴に?」

「…えっと、友達、とか…小さい子とか、お年寄りとか?あと、犬とか猫とかもさ、そうじゃん?」

「…優しさが無くても親切には出来る」

「え?…あぁ、この間の?」

「優しさと親切の違いって何?」

「……いや、だからそれが分からない訳で…」

「分からないのに俺のは優しさじゃないっていうのは分かるんだ?」

「だ、だってそうじゃん。そうだよ、絶対」


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