優しくないっ、優しさを感じない!


一体急に何なんだと、なんか難しい話になってきたぞ…と、あたしは頭がぐるぐるし始める。なんだか話がよく分からない方向へと向かってる気がする。…あれ、始めって何の話してたんだっけ?


なんて、そろそろキャパシティの限界が近づいてきたのを感じ始めたその時だった。ポツリと進藤は、「…まぁ、そうだな。結局は俺の個人的な見解だしな」なんて言うと、いつもの溜息をついてみせる。

…いつもはその溜息が気に入らなかった。気に入らなかった…けど、今だけ。今だけはあたしはそれにホッと一息ついてしまったりする。これでこのよく分かんない話も終わりか、なんて。


「優しくしたいのか、しなきゃならないのか。俺の事好きだって言ってるんだから、やっぱり優しくしてあげたいだろ?」

「…あ、さっきの子の話?」

「さっきの子も含めて。俺は俺に好意を持ってる人間に優しいよ」


そう言ってニッコリ微笑んだ進藤。その笑顔は爽やかな方の笑顔で、あまりに上手く作られているそれに、あたしは未だに作られた表情なのかがわからない。

でも、自分の事が好きな人には優しくしてあげたいなんて、なんか思ったより可愛い告白にも思える…うん。その言葉が今の爽やかな表情とすごくピッタリ合っている。てことはきっと、これは進藤の中にある少しの本当の笑顔なんだ!ほんの少しの良い感じのヤツのやつなんだ!


「なーんだ!進藤にもそういう、」

「俺の事好きでいてくれる間は良いように動いてくれるしね」

「可愛い所……はい?」



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