優しくないっ、優しさを感じない!

初めてと思いきやの二回目という





…その日、目覚めは最高に悪かった。


「…ったく。なんで朝からアイツの事考えなきゃなんない訳?絶対可笑しい」


起きた瞬間から何故か頭を過るのは、昨日の奴との会話の所々。…てか、昨日の別れてから寝る前までずっと、そして今に至るまでといった方が正しいかもしれない。もしやあたしの脳みそは奴に侵食されているのかも…なんて、恐ろし過ぎる事まで過ぎってしまう。


『優しくして意味のある奴と無い奴って
いるんだよ。その後者がおまえ』


はいはい、あたしに優しくしたって何の価値もありませんよね。優しくして意味が無い奴、それがあたしですよね、もう十分分かりましたよ。


『俺は意味のある人間には優しくする。優しくして見返りがある人間には、俺だって優しくしたいと思うからね』


でもこの発想は可笑しい。やっぱり納得出来ない。どう考えても捻くれてるし、優しさって言葉の意味を素直に受け取れやしない。もう一度辞書でもひいてみて欲しいくらいだ。


『優しくしたいのか、しなきゃならないのか。俺の事好きだって言ってるんだから、やっぱり優しくしてあげたいだろ?』


…そんな風に思うんだったら、だよ。仮にね?仮にだよ?もしさ、あたしのこと、もし優しくしてくれたとしたら…あたしさ、こんなにアイツの事嫌いになって無いと思うんだけど。それが好きだって言ってくれる人に優しくしたい気持ちと同じじゃないの?

あたしだって優しくしてくれる人には優しくしたいと思う訳じゃん?そしたら、あたしはアイツにとって優しくしてくれる人になる訳だからお互い優しくするじゃん?つまり全て丸く解決、円満な関係じゃん。そこまでやっとだけどあたしの頭でも辿り着いた訳。それなのに…なんでアイツは、そこに気づかないんだろうか。


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