優しくないっ、優しさを感じない!
「…いや、だからって優しくされたいって思ってるとか、そうゆー訳じゃないんだからね?ただ、お互いこんな嫌な気分になるならいっその事というかなんと言うか…」
「出た、でかい独り言!」
「?…あ、コースケ」
「おっす。早くしないと遅刻するぞ?」
朝起きてからうだうだ考えながらもいつも通りに足は動いていて、気づけばあたしは昇降口に着いていた。でもコースケが居るって事は朝練が終わって片付けやら身支度やらが終わった時間だって事だから、つまりは結構遅刻ギリギリの時間になってしまっている、という事な訳なのである。(てゆーかそうゆー事だって、コースケに言われて今気がついた)
「え、もうそんな時間だったのか!急がないと!」
「おう。…なぁ」
「ん?」
「何か、考え事か?」
「…へ?」
「それとももしや、悩みでもあんのか?」
「え?な、悩み?あたしが?…なんで?」
なんで?なんで分かったの?なんて、心臓がドキリと反応した。てゆーかそんなにあたしの事…なんて少しときめいた。
…のに、だ。そんな気持ちはすぐに吹き飛んでいく事になったりする。
「いやな?顔がいつにも増してこう険しい…、」
「はい、真似しないで。イライラはもういらないから」
「ん?イライラ?」
「……いやぁ、イライラっていうか…」
と、その時だった。
「お、進藤じゃん」
「そう、進藤が……へ?」