優しくないっ、優しさを感じない!
『……あ、あはは!いいよいいよ!あたしも一緒に居て楽しいし、そう思ってくれてただけで十分嬉しいから!』
だから高校でもよろしくね!なんて、バカなあたしはバカみたいに笑って誤魔化す事しか出来なくて、なんとかその場をやり過ごして、じゃあまたね!なんて立ち去ろうとした…その時だった。
『待って。これ』
そう言って渡されたのは見慣れた校章が刻まれたボタン。ハッと目で確認すると、さっきまであったはずのコースケの制服の上から二つ目のボタンが無くなっていた。
『気持ちには答えられないけど…良かったら、貰ってくれ」
それは紛れも無く、欲しくて下さいと頼んだ彼のボタン。彼の、第二ボタン。
『…ありがとう』
受け取ったボタンから目を上げると、コースケは二カッと笑って、これからもよろしくな!と、あたしに言ってくれた。あたしはそれにガラにも無く泣きそうになりながら、うんと頷く事しか出来なかった。
…これが、あたしの初恋の話。中学校最後に経験した甘酸っぱい青春ラブストーリー。フラれたけどボタンが手元で良い思い出としてあり続けてくれるってゆー、なんとも甘く酸っぱい素敵なお話で上手く終わったーーはずだった。
…はずだった、のに。
あたしの初恋は、まだ終わらない。
…終わりが見えないっ‼︎