優しくないっ、優しさを感じない!
なんせあたしの頭のキャパシティは小さい。小容量だ。でも…こんなにも、小さかったなんて。
「もうあたしの頭には好きな人に浸る余裕すらないのか。だとしたら絶望だ。今後の世界、あたしの中にはもうずっと優しさとか親切とかいうあんな奴の言葉だけがずっと残るんだ…!」
「…騒がしいと思ったら、やっぱりおまえだったの」
「!」
…それはいつも通り、放課後の少し遅くなった時間にたった一人っきりの教室で、野球部の練習を眺めながらコースケにも言われるでかい独り言ってやつをいつも通りにこぼしていた、それだけだった。
「あんな奴って言ってたけど、それってまさか俺の事?」
…いや、いつも通りじゃない。そうだ、あたしはいつもと違っていた。
考えてた事がさっぱり違う。…コイツだ、コイツの事であたしは今、考えこんでいたんだ。
「…だからなの?」
「?、何が?」
「だから今日はあんたがここに来たの?…そうだ、きっとそうだ。だからもうあたしの人生はきっと変わってきてしまっているんだ。あたしのキャパシティが小さいばっかりに…!」
「…何言ってるか、さっぱりなんだけど」
絶望感に打ちひしがれるあたしに、奴は呆れたように言葉をもらした。心の声で留めようとは、ハナから思ってもいないのだろう。