優しくないっ、優しさを感じない!
「ふんっ、いーんだよ別に!あんたに言ってたんじゃなくてあたしの独り言だったんだから!」
「独り言、ねぇ…規格外だったけど」
「いーの!もうほっといてよ!」
そしてあたしは、ふいっとそっぽを向いてまた視線を野球部の方へと戻す。もういいんだこんな奴の事は、今はこっちに集中集中…なんて、そんなこんなをさっさと忘れて無かった事にしようとすると、
「放っといていいのか?そしたらおまえ、中村に浸る時間ずっと無くなるんだろ?」
「!」
…それは突然の奴からの爆弾発言。ほっとかれるもんだとばかり思ってたからってのも合間って、まさかのそれにあたしはうっかり被爆してしまう。
「な、なんでそれを…?」
「いやいや自分で言ってたから。バカみたいにデカイ声で」
「……」
なんていう簡単なタネ明かし。
そうか、そこも口に出してたんだっけ…なんて、もう何とも言えない文句を詰め込んだ眼差しを奴に向けると、そんなあたしの視線に気づいていないかのような自然な動きで奴…進藤は、あたしの後ろのレナちゃんの席に座った。
それは窓の外を見るように座るあたしから見たら机を挟んで隣に座る形である…って、え?なんで座ったの?
…あぁ、ほっとかないって事なんだっけ?
「……」
「…何?」
「……信用出来ない」
「何が?」
「進藤が」
「俺?」
「……」
「なんで?」
「……」