優しくないっ、優しさを感じない!
「……」
ーー沈黙、それはあたしと進藤の間で続いた。
進藤は黙ってあたしを見ていた。あたしは…あたしは、どこを見ていただろう。
進藤があたしを見てたって分かるから、それならあたしは進藤を見ていたのかもしれない。…でも、あたしの気持ちはここに無かった。
外で野球部が練習をしている。掛け声とか指示とか、後は打つ音とか、なんか色んな練習中の音が聞こえてくる。
ずっとそこに、あたしの意識はあった。
ずっとそこに、あたしの求めるものがあった。
だけどそれも…また、無意味。
「…おまえは、恋愛が下手だな」
ようやく口を開いたと思ったら、やっぱりコイツはコイツだった。やっぱり出てきたのはこんな言葉だった。
「……」
そしたらなんだか、今までの張り詰めていた気持ちが、この状態がバカみたく思えて、溜息をつきたくなった。今更もうそんな事はどうでも良かった。そんな言葉が聞きたいんじゃなかった。…だけど、
「でも、おまえのそれは本物だ」
「……え?」
本物?