優しくないっ、優しさを感じない!
そう言って、ニッコリ微笑むレナちゃんが可愛い。コースケとも話せたし、進藤ともなんだか少し…変わった気がする。
「なんかヒロちゃん、楽しそう。…嬉しそう、かな?」
あたしが来るのを待ってましたと言わんばかりに、座った瞬間すぐに始まった授業。
そんな中こっそりとあたしの後ろでレナちゃんが囁いて、それにあたしは「あ、分かる?」なんて、軽く振り返りながらウキウキと答えた。
「なんか最近良い感じなんだ!スッキリしてるの!」
…スッキリ?
あれ?と。あたしは自分で答えたはずの言葉なのに、それに疑問を抱く。
スッキリ?何が?…何か悩んでたんだっけ?
思わず自分で言った言葉。だけど確かに感じた気持ち。それなのに分からない、そんな気持ちを前にあたしは自分自身に対して首を傾げる事になった…訳だけど、
「そっか。良かった…」
「…え?」
そう、ポツリと呟いたレナちゃんの声が耳に入った瞬間、そんな気持ちも思考も、一瞬にして何処かへ吹き飛ばされていった。
だってその声はまるで、レナちゃんの心の声が零れたように小さくて…だからかな。それはあたしの答えに対してレナちゃんが心からの穏やかな安堵感を漂わせているような、そんな風にあたしには思えたんだ。
「私じゃ力になれないけど…ヒロちゃんずっと考え事してるみたいだったから、スッキリしたなら良かったよ」
なんて言うレナちゃんは、どうやらすごく心配してくれていたらしい。それに本当に有難く思いながら、そんなレナちゃんからもらった言葉の中にあったそのフレーズで…ようやくあたしは、その事実を思い出した。
「…考え事……あぁ!」
そうだ、あたしはずっと考えてた!進藤が言った言葉の意味とかなんかよく分かんなくて、そうだ、それで!
「でも結局答えが出てない!」
「…うん?」