優しくないっ、優しさを感じない!
今となれば、なんであんなに気になってたのか分からない。なんであたしはアイツの言葉をあんなに知ろうとしてたんだろう。てかむしろ、なんで今こんなに気にならなくなったんだろう。
『まぁでも、おまえは好きなだけ無意味な事するべきだよ。それはおまえの才能だから』
ふと、そんな言葉が思い浮かんだ。これは確かこの間の放課後、ここで進藤に言われた言葉だ。
今思えばコレ、すごく人の事をバカにした台詞だと思う。冷静になって頭の中で言葉を読み直すと、進藤この野郎と思う気持ちがふつふつと湧き上ってきたりする。…でも、
『分かっててもそう上手くはいかないよ。だから無意味な事を続けられる奴は強い。下手くそだけど、強いんだ』
そう続くこの言葉は…あたしを強く、大きく照らし出した。
あたしはバカだ。バカで諦めの悪いどうしようも無い奴だ。でも進藤は、そんなあたしをこんな風に言ってくれた。こんな風に奴はあたしの事を思ってくれた。
進藤に認められたーーあたしはあの時、そう感じたのかもしれない。それからスッキリしたのだとしたら、それで気にならなくなったのだとしたら、あたしはもしかしたら出会った時からずっと、進藤に認められたかったのかもしれない。だから進藤の言葉の意味を、知りたいと思ったのかもしれない。
…いや、まぁ本当に認められてるかは別としてね。
てか、あたしだって別にあんな裏表野郎認めてないし。人の事価値がどうとかで見てるアイツは嫌な奴だってやっぱ思うし。…まぁ、でもさ。
「恋愛面においては、アイツを全面的に認めてやってもいいような気がする。ほら、片思いの気持ち分かる的な事言ってた事もある訳だし」