優しくないっ、優しさを感じない!
うんうんと、あたしは自分の独り言に当たり前のように頷いた。
よし、そうと決まればこれからどんどん活用させてもらおう!皆にも教えてあげよう!ここはぜひレナちゃんにオススメしてまず…いや、ダメだ‼︎ レナちゃんが奴の毒牙にかかってしまうかもしれない!そんなの絶対にいけない!
だったらどうする…誰か他にオススメ出来る人は……
***
「うーん…」
「おっすヒロ!忘れ物か?」
「…あ、コースケ」
放課後、レナちゃんと別れたあたしがいつものように教室へ戻ろうと引き返していると、練習着姿のコースケと鉢合わせた。もう着替えてるなんて早すぎる。でも間近で練習着姿、とっても新鮮ですありがとうございます。
…なんて心で思いながらもひた隠しにして、そのままあたし達は二人で校舎内へと入っていく。
「忘れ物…いや、まぁそんなとこかな。コースケはなんでここに?」
「俺?俺は職員室に」
「呼び出し?あぁ、もうすぐテストだもんね。先生も心配だよね」
「…なぁヒロ、それどうゆー意味で言ってる?」
そこですかさずテヘっと笑って誤魔化すと、「おまえだけには言われたくねーよ!」って、コースケから突っ込まれた。そうですね、あたしのが点数悪いタイプでした。
「顧問を呼びに行かされててさ。まぁ、来ない方が楽なんだけど」
「コラコラ、青春真っ盛りの野球児がそんなこと言っちゃーいけないぞ」
「あはは、だなー。青春なー」
なんて笑って流すけど、今のコースケなんていかにもな練習着がまさに青春感丸出し。いいねぇ、青春だねぇ。キラキラだよー。
「いいなぁ…あたしの青春っていったら…恋かな……、あ。」
ーーその瞬間、ヒヤリと冷たい何かが一瞬にして身体を駆け巡った。