優しくないっ、優しさを感じない!
そして、「なんで進藤はいつもそうなんだ!」と、ギャーギャー喚き出したあたしを、進藤は「はいはい」と、まるで関心ゼロといったように冷静にあしらってくる。
…奴には、あたしがどんな感情を抱いていようが何の影響も無いらしい。
くそっ、まぁだからというかなんというか、「それで?原因は?」なんて、至って変わらず平常時のまま尋ねてくる奴に対して、あたしも荒ぶっていた感情を納めて対応する事に徹した。だって悔しいじゃんよ、あたしだけこんなでさ!
「…原因ね…」
落ち着いた先で、改めて受け取ったその言葉。ようやく思考回路がちゃんと機能し始めたあたしは、原因についてまず考えてみる事にする。そしてそのためにぐるぐると巡ったのは、先程の出来事の数々。
何故あたしは困っているのか。あんなに取り乱していたのか。こんなに言葉が出てこなかったのか。
思い浮かべて、頭の中で並べてみる。するとそれは思ったよりも早くあたしの前に現れてーーそれと同時に、あたしの口から言葉になってこぼれ落ちていた。
「……認めたく無かったけど…」
…そう。あたしは口に出して認めたくは無かった。だから言葉が出なかったのかもしれない、それが現実として目の前にまた現れるのが嫌だったから。辛かったから。
「あたしはやっぱり…コースケが好きなんだ」
「……は?」
そんなあたしの呟きに、進藤はそれこそまた何を今更という表情を浮かべた。まるで何を言い出すんだと呆れているかのように。…でも、あたしの話はまだ終わってない。
「あたし、迷惑かけたくないから誤魔化した。そしたらなんか変な事になって誤解されちゃって…でも結局、訂正出来なかったんだ。そんな事したらまた迷惑かけちゃうから。あたしの気持ちは迷惑しかかけられないから。そしたら、改めて分かっちゃった」
認めたく無い。認めるしか無い。でも…そんなのも結局、今更だ。
「コースケにとってあたしは友達で、だからコースケはあたしに好きな人が出来たら嬉しいんだ」
あたしに好きな人が居ようが居まいが関係無い、そんな風に思われる関係の方がまだ辛さもマシだったかもしれない。