優しくないっ、優しさを感じない!
神崎 ヒロと霧野 レナで、出席番号順のあたし達の席は縦並びで一緒。だから高校入ってすぐ声かけたのがレナちゃんで、始めの頃こそレナちゃんはあたしに人見知りしてたけど、そんなのお構いなしのあたしの猛アタックで今ではすっかり仲良くなれた。
学校帰りは塾が忙しいレナちゃんとは校門出てすぐにお別れだけど、無い時は一緒に電車に乗って帰ってる。でも塾の方が多いかな?頑張って入学したばかりだってのに、レナちゃんはすごいなぁと思う。そこが正にあたしとレナちゃんの頭の違いに表れてんだろな、だとしたら納得。
「じゃあまたね!今日も塾頑張って!」
「うん!また明日ねー」
放課後、いつものように校門で別れるあたし達。可愛いレナちゃんの後ろ姿を見送った後、さぁて帰りますかー!と、一人駅に向かって歩き出そうとしたあたしは…
「いやいや、うん。ちょっとだけね、いいだろ」
なんて独り言を呟いて、そのままくるりと方向転換。そして学校の方へと心なしか急ぎ足で戻っていく。
「…あ、いるいる!これから始まるとこかな」