優しくないっ、優しさを感じない!
「ま、いっか。よーし!これからもどんどんスッキリしてこー!」
「いやいや、勘弁してくれよ」
「でもさー、進藤って言う事は冷たいし目も冷たいし態度も冷たいけどさ、」
「おい」
「でも話はちゃんと聞いてくれんだね。それってあたしに対しての優しさ?それとも親切?」
「……」
二ヤーっと、不敵な笑みをあたしは浮かべてしまった。ついね。つい、驚いた顔をした進藤を見ると、やってやったぜ!なんて、勝ち誇ったような、意地悪いような、そんな気持ちが表情に出てきてしまったりしたんだけど…でもそれが、あたしの首を絞める事になったりする訳で。
「親切…のつもりでやってたんだけど、勘違いされたら怖いから今日限りだな」
「え?」
「これからは別をあたりなよ」
「え!ちょ、進藤!」
そしてそのまま立ち上がった進藤は、何事も無かったかのような顔をしてスタスタと教室を出て行ってしまい、あぁ、そんなぁ!と、慌ててあたしはその後ろ姿を追いかける。
「待って!嘘!勘違いなんてしてない!だから待ってー!」
「……」
「進藤お願い!これからもよろしく!ねぇ進藤!」
「……」
「進藤恋愛マスターっ‼︎ 」
「だからそれやめろって」
あたしの呼ぶ声に心から嫌そうな顔して振り返った進藤に、あたしは今がチャンスだとばかりに走って追いついた。くそっ、今日は何だか走ってばっかりだ。
「こ、これからもよろしくお願いします…」
「…本当、バカだねおまえは」
「!」
結局、あたしはバカだバカだと言われて終わる。これがあたしと進藤の関係なのかと思うと、ちょっと泣けた。