甘く、苦く [短編]
『身長かー…』


「あはっ。
春斗、小さいからね」


膨れた俺に、みのりは笑顔を見せた。

こういう時に、悔しくなる。

『みのりが高すぎんだよ』
って、苦笑しながら言った。


「仕方ないじゃん!
伸びちゃったんだもん」


『分けてくれよ』


みのりは、高身長なうえに、細い。

少し都会へ行けば、スカウトだってされる。


『身長、欲しいし…』


「春斗はいいじゃん!
人気、あるんだから」


人気なんか、要らないんだ。

欲しいのは、身長…いや、みのりかな。


「あたしは、小さくなりたいよ。
せめて、五センチは」


『何で?』


「まあ、理由は有るの!
言わないけどっ」


俺も、五センチ有れば…。

みのりより、背が高いのになー…。

五センチの差は、恋愛対象に入れない大きな壁だ。


「ちょっとコンビニ寄ろ?」


『え?
あ、うん』
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