甘く、苦く [短編]
「これ、美味しいんだ」


『知らねぇよ』


「何拗ねてるの?」


そんなみのりの声を聞き流し、歩き始めた。

みのりは、「もうっ」と言って、俺の前に現われた。

あの牛乳を持って…。


「春斗には、これっ!
プレゼントだよっ」


『…え?』


「毎週月曜のプレゼント、気付いてた?」


『…えぇっ?』


何を言ってるのか、いまいち分からない。

でも、前に居るみのりは赤くてー…。


「あたしが小さくなるのは無理だから。
早く、大きくなってね?
待ってる、から」


『え、あー…?
てか、みのりから直接もらわなきゃ、身長伸びねぇよ…』


そう言って俺は、微笑んだ。

みのりも、俺に向かって笑った。


『早く、デカくなるから』


「…うんっ」



一週間後ー…


「春斗っ、牛乳ー!」


玄関で、微笑むみのりを見て、つい頬が緩んだ。
(もう少しで越える5センチの壁)
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