季節と君のとなりで
《横断歩道の桜、もう咲いたかな》

蕾はふと思い出した。

通学路の途中にある横断歩道。

その向こう側にある桜の木は結構大きくて、毎年横断歩道には桜が雨のように舞う。


千夏と並んで歩いていくと、いつもどおり横断歩道にでた。

向こう側には見慣れた桜の木。

「あとちょっとで満開って感じだね」

「ほんとだ」

「明日にちょうど満開とか.....?」


誕生日の朝に、満開の桜を愛でてから登校.....

こんな幸せはなかなかない.....

蕾は顔がにやけてしまっていることに気付いていない。


なぜ蕾が嬉しそうなのか分かった千夏は、少しあきれたように、でもちょっと笑いながら言った。

「だといいな」

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