季節と君のとなりで
千夏の母親は実はハーフ。
だから、千夏は髪こそ真っ黒だが、瞳は深い青。
千夏の青い目をからかう人が、中学校の時までは結構いた。
中2の時だった。
蕾はときどき耳にする千夏の悪口に腹を立てていた。
《目が青くたって、千夏がいい人であることに変わりはないのに》
でもそれを言えない日々が続いていた。
ある日の登校時。
(おなじ中学校の生徒も近辺にあまりいなかったので、やはり一緒に登校する日が多かった)
蕾は悪口のことを伝えようか、少し悩んでいた。
悪口が耳に入っているのに知らないフリをしているのは、悪口を言っている人たちとおなじ罪を犯している気がした。
勇気を出して口を開く。
『あのさ...』
『なに?』
普通に聞き返してくる千夏に、伝えるべきかどうか、心が揺らいだ。
『あのさ、みんなが....その....ほら.....』
思わず千夏の瞳から目線をそらした。
『ああ、俺の目のことな』