これが、あたしの彼氏です。【完】



「あー、ごめん!今日も部活なのよ。サッカー部が大会近いからこっちも大変なの」

「あ、そっかぁ、分かった。あんまり頑張りすぎないようにね」

「うん、大丈夫。マネージャーだし。じゃあ切るね。暇だったらまた連絡する」

「うん。分かった待ってる」

そんな久し振りの由希との電話は、呆気なく5分も経たないうちにプチっと途切れてしまった。

――――終業式を終えてからの夏休み。あたしのサマーバケーションは、超が何個付いても足りないくらい暇だった。やらないといけないことなんて、面倒な夏休みの宿題くらい。由希はサッカー部のマネージャーで平日はほとんど学校だし、お母さんは当然会社へ仕事に行っている。
一人で何処かへ遊びに行く勇気もないから毎日クーラーをガンガンと付けた涼しい部屋で、一人でナマケモノみたいに過ごしている。

そんなだらしない日々が続いて、もう二週間が経とうとしていた。


あの矢沢君とも、当然連絡を取っていない。
あたしから連絡をするだなんてまずないし、あの矢沢君も此処ずっと連絡一つ寄越してこないから、ある意味平和で快適な日々を送っている。

まだ引っ越しの片付けも終わっていないと言っていたし、矢沢君も矢沢君で忙しいんだろう、なんてそんな単純なことを思っていた、その時、


―――――ブブブ、


マナーモードに設定したままだったあたしの携帯が、静かに鳴り響いた。
< 100 / 270 >

この作品をシェア

pagetop