これが、あたしの彼氏です。【完】


どうして、矢沢君と一緒に夏祭りなんて行かないといけないんだ。

「あぁ?俺が誘ってんだぞ」

「……」

出た、と言わんばかりの俺様な態度に少しばかりカチンと来る。

「ち、違う人誘って行けば?何であたし?」

「理由なんかない」

「へっ?じゃあ、あたし以外を誘って行って来て下さい」

「あぁ?俺が誘ってんのはお前だ。何で他の奴と行かなきゃならねぇんだ」

……知りません、そんなこと。


「行かない行かない。絶対行かない」

「明後日迎えに行く。家の前で待ってろ」

「なっ、人の話聞いてる…!?」

「生憎、俺の辞書には否定と言う言葉が存在しない」

「はい?…なにそれ!」

「熱さにやられて死んでんのかと思ったけど元気そうだし、どうせ夏休み終わってから外一歩も出てないんだろ」

「…うっ、」

まさに的確な事をサラリと言われ、あたしは返す言葉が無くなってしまう。


「良かったな。これで一つ予定が出来たじゃねぇか」

「…勝手にあたしの予定作らないで欲しいのだけど、」

「どうせ、暇なんだろ」

「………」

「一日くらい、会ったって良いだろ。夏休み、長いんだから」

聞いているこっちが恥ずかしくなるような事を言われ、あたしはつい顔の温度がカアっと上昇してしまった。
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