これが、あたしの彼氏です。【完】
「あーもう、分かりました。仕方ないから行きます…!あたしが何言っても、絶対引き下がってくれないんだろうし、」
「あぁ。俺の事、よく分かってんじゃねぇか」
「………」
分かりたくもないんですけどね、なんて思いながらも、そう言った矢沢君の声が少しばかり嬉しそうに聞こえたのはあたしの思い違いだろうか。
「じゃあ明後日の18時。迎えに行くからお前の家の前で待ってろ」
「あ、うん…分かった」
「あぁ。それから、もうあん時みたいなヘマはすんじゃねぇぞ、分かったな」
「え。あの時って?」
「水族館行った時の、お前のダサい服装だ、馬鹿が」
「あ、き、気を付けます…」
未だにあの服装を買ってもらった事については申し訳ないと思っているわけだし、明後日は出来るだけマシな格好をして行った方がよさそうだ。
「じゃあ切る。また明後日な」
「あ、うん。また」
そこでプツっと電話が切れると、あたしは腰掛けていたベッドにそのままダイブした。