これが、あたしの彼氏です。【完】
それからと言うもの、いつもの一日が幕を開けた。唯一今までと違うのはあたしを見る周りの痛い視線。
授業が進んでも、いきなりやってきた今日の出来事は一向に消える気配はなく、耳を澄まさなくてもコソコソと話し合う色んな噂があたしの耳に入って来る。
『…ねぇ、東雲さん。本当に矢沢君と付き合ってるらしいよ?』
『それに、朝貼ってあった写真、東雲さんが自ら剥がしたとか』
『そもそも何で東雲さんなの?矢沢君、あたしも狙ってたのに』
『てかさあ、矢沢君と付き合うなんて、何様のつもりなわけ?』
それはもう、色々な声が聞こえて来る。矢沢君との噂だけではなく、有り得ないだとか、悔しいだとか、別れろだとか、まさに逆恨みされそうな事ばかり。
どうしてあたしが、こんな事にならなくちゃいけないのだろう。
それからの数時間後、何とか午前中の授業が終わり昼休みに突入した。
今日は由希と一緒にご飯を食べようと、お手洗いに行った由希の帰りを待っていると、
「ねぇ、東雲さん」
クラスでもリーダー的存在のギャル達が、いきなり怖い目付きであたしに話し掛けてきた。
「えっ、あ、…はい」
「シンと付き合ってるって噂、あれ本当なの?」