これが、あたしの彼氏です。【完】
「おい」
「………」
「おい」
「…え、あ、何?」
いつもと変わらない屋上に着いた後、ボーっとしているあたしに矢沢君が声を掛けて来た。
「お前、何さっきからボーっとしてんだ」
「え。あ、ちょっと…」
「ふーん。今日の放課後、校門前で待ってろ」
「え。あ。今日も一緒に帰るの…?」
「あ?他に何があるんだよ」
「…あ、そうだよね。うん…、でも…」
「あ?」
出来れば今日は、矢沢君と一緒に帰りたくない。そんな事を思いつつ、あたしは恐る恐る口を開いた。
「あの…きょ、今日は友達の由希と一緒に帰っても良いかな…」
「あ?約束してんのか」
「え、あ…、うん。由希と帰るの久し振りだし」
矢沢君の様子を伺いつつも小声でそう言うと、矢沢君は低い声で「分かった」と了承してくれた。
「…ごめんね、ありがとう」
「別に。」
その後は何となく気まずくなってしまって、特に何も話す事はなく呆気なく時間だけが過ぎて行ってしまった。