これが、あたしの彼氏です。【完】
「ねぇ聞いてる?東雲さん。シンと一緒にいなければこんな苦労しなくても良いんだよ」
「………」
「東雲さんだって、もうこれ以上苦労したくないよね?だからさ、此処で思い切ってシンを振れば良いんだよ。………東雲さん、あたしの言ってる事、少しは分かってくれるよね?」
「………」
「東雲さんの為を思って言ってあげたんだよ。これ以上一緒に居たって辛いだけだし、もっと状況が悪くなる事くらい分かってるでしょ?」
「………っ」
「だから、もうシンと縁切っちゃいなよ。そしたら東雲さんだってまたいつもと同じ日々を送れるよ?……今度、どうなったかどうか聞くからさ。その時また教えてね…?東雲さん」
最後までニヤリとした表情を崩さなかったギャル女は、それだけ淡々と言い残してさっさとこの場を去って行ってしまった。
ギャル女が戻って行った後、あたしは頭がボーっとしてたださっきの言葉の数々が、何度も頭の中でリピートされていた。
「……あたしも、教室戻ろう」
そんな小さな独り言をポツリと呟いて、あたしも由希が待っている教室へと急いだ。
スタスタと歩いて教室の戸を開けると、真っ先にあたしに気付いた由希が「大丈夫だった!?」と心配そうな目であたしにそう問いかけて来てくれて、あたしはそんな由希を安心させるようにニッコリと微笑み「…大丈夫だったよ」とそれだけ返した。