これが、あたしの彼氏です。【完】
「……ど、どうして矢沢君が困るの…?」
「あ?」
「……むしろ、困ってるのはこっちの方なんだけど…!」
―――あれ…?あたしは一体何を言ってしまっているんだろう。
「矢沢君の所為で……っ、あたし……っ」
―――違う。全然違う。あたしはこういう事が言いたいわけじゃない。
「あたしが、どれだけみえないところでっ、散々苦しい思いをさせられたか…っ」
「……あ?」
―――違う。違うんだ。これじゃ、あのギャル女が放った言い分と全く変わらないじゃないか。
「………もう、辛いよ」
―――違うんだよ、矢沢君…。
「あたし、帰る……」
心と口はまるで別の生き物だと言うように、あたしは矢沢君にボロボロと吐き捨ててしまった。
その後、それだけ吐き捨てて教室を飛び出したあたしを矢沢君は一切止めようとはしなかった。
あんな事、言うはずじゃなかった。こんな事を望んでいたわけじゃなかった。
それなのに、あたしは心でもない事を全て矢沢君にぶつけてしまって、勝手に矢沢君を悪者扱いにしてしまった。
「……うっ」
気付けばいつのまにか、大量の涙があたしの瞳からポタポタと零れ落ちていった。